さて、十二時から、全地が暗くなって、三時まで続いた。
三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」と叫ばれた。
これは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」
という意味である。
すると、それを聞いて、そこに立っていた人々のうち、ある人たちは、
「この人はエリヤを呼んでいる。」と言った。
また、彼らのひとりがすぐ走って行って、海綿を取り、それに酸いぶどう酒を含ませて、
葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。
ほかの者たちは、「私たちはエリヤが助けに来るかどうか見ることとしよう。」と言った。
そのとき、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取られた。
すると、見よ。神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。
そして、地が揺れ動き、岩が裂けた。
また、墓が開いて、眠っていた多くの聖徒たちのからだが生き返った。
そして、イエスの復活の後に墓から出て来て、聖都にはいって多くの人に現われた。
百人隊長および彼といっしょにイエスの見張りをしていた人々は、
地震やいろいろの出来事を見て、非常な恐れを感じ、
「この方はまことに神の子であった。」と言った。
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(マタイ 27章45〜54節)
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イエス様は十字架の上で7つの言葉を語られました。
@は十字架に就ける兵卒たちのために
「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか分からないのです」
A十字架のうえで悔い改めた強盗に「今日あなたは私とともにパラダイスにいる」
Bは母マリヤとヨハネに語った遺言
C「エリエリレマサバクタニ」
D私はかわく
E「すべては終わった」
Fは「父よ私の霊をゆだねます」でした。
マタイはこの4番目の言葉を強調しています。
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1. |
霊的暗黒 |
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イエス様は死を目前にして霊的暗黒を体験されました。
マルコでは朝9時に十字架につけられ、
12時は暗黒となり3時ごろまで続いたとあります。
これは神様の怒りを意味しました。
かつてエジプトで神様の民には光があるが、
逆らうエジプトの民には暗黒がやってきたのです。
またエリエリレマサバクタニはヘブル語とアラム語の混ざった言葉で
イエス様自身が自分の言葉で語られた言葉でした。
神様から見捨てられた暗黒、
神様が父ではなく裁く方となった絶望感を詩編22編をもって表現されたのでした。
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2. |
マタイは死の瞬間を描いている |
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人々はエリエリレマサバクタニはエリヤを呼んでいるので、酢を飲ませないでもよい。
エリヤが救いに来るまで命を長らえさせる必要はないと考えたのです。
しかしイエス様は自らご自分の霊を神様に委ねられました。
全人類の罪のために神様の怒り・裁きを受けられることによって、
後に来る喜びを確信して死を選ばれたのでした。
イエス様は死を克服するメシヤとして十字架で死を選ばれたのでした。
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3. |
死に伴う3つの奇跡 |
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マタイは百卒長やイエスの番をしていた人々は
群衆と違ってイエス様をメシヤとして体験しました。
彼らの信仰告白は、後の初代教会の使徒信条に影響を与えました。
第1の奇跡は神殿の幕が上から下まで真二つに裂けたことです。
この幕は神殿の聖所と至聖所を隔てていました。
神様のみ前にイスラエルはそのままで近かずくことはできませんでした。
それが十字架のイエスの死によって除かれたのです。
そして至聖所にあるべき証の板と契約の箱がないことが暴露され、
神様のなき旧約儀式からの解放がされたのです。
第2の奇跡は地震のために岩が裂けた。エルサレムは岩盤層に立っていました。
それが裂けたことはイスラエルの崩壊の預言と
選民イスラエルの終焉を物語っています。
第3の奇跡は生徒が蘇った。
誰がどのように蘇ったかは定かではありませんが、
イエス様十字架の死によって、人々を閉じこめていた死、
その象徴の墓石が取り除かれたのです。
死は人びとを閉じこめる力を失った。
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